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落書き帳

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2015年 11月 04日

一矢とエリカのバラード

 以前「グレートマジンガー」(こちら)や「グレンダイザー」(こちら)について語った時にも触れたように、私がロボット・アニメに最も夢中だったのは昭和48年頃~昭和50年(5歳~7歳)くらいでした。マジンガー・シリーズ以外にも「ゲッターロボ」や「勇者ライディーン」もあったしで、この時代が全盛期だったことは間違いないところでしょう。それよりも少し遅れて始まったのが「コンバトラーV」や「ボルテスV」でした。もちろんこのシリーズも毎週見ていたけど、既に小2~4くらいだったので、ヒーローもの=「戦いもの」(当時の私がそう呼んでいた)に対して少し冷めた目で見ていたのも事実。以前ならただただ「カッコいいな」と憧れたり、格闘シーンや次々に登場する武器に熱狂したりしていたけど、もうそれだけで感動できる年齢でもなくなりつつあったし。

 とはいえ「コンバトラーV」は5人の登場人物の乗る5台のメカが合体するという斬新さがあったし、次々に新しい武器が登場するワクワク感があったし、敵キャラ(=ガルーダ)にも悲しいドラマがあったりでそこそこ楽しんで見ていた覚えがあります。「ボルテスV」は最初は「二番煎じ」と思っていたけど、途中から乗組員の中の3兄弟が実は敵であるボアザン星人の血を引いていることが判明するという、それまでにない衝撃的なドラマがあったりで当時としては非常に斬新なストーリーだったので、既に「戦いもののアニメなんて子供だまし」と思い始めたいた小3~4のマセガキの私でも思わず引き込まれてしまった覚えがあります。何より「土曜日の夕方6時=休みの前の日」のワクワクした気持ちを盛り上げてくれる番組というイメージがあったものです。

 その「コンバトラーV→ボルテスV」の後に始まったのが「闘将ダイモス」。「合体もの」が続いた後なだけに、操縦するのが一人だけ、しかもトレーラーが変形するだけというシンプルなロボットに肩透かしを食らったし、敵司令官リヒテルのキャラクターもガルーダ→ハイネルの「3番煎じ」のようだしで「微妙だなあ」と。それ以上に私を困惑させたのは、ダイモスの操縦者である竜崎一矢と敵司令官リヒテルの妹エリカの悲恋。「敵味方に分かれた恋愛関係」って、当時のヒーローものやロボットものにはなかった設定ではあるけど、当時の私には「軟弱」「女々しい」と映りました。何かにつけて「エリカ、エリカ」と叫んだり悩んだりする一矢、血気盛んで好戦的な「ヒーローものの主人公」の理想像とは大きくかけ離れている。エリカも自意識過剰で夢想家で「頭の中がお花畑」な世間知らずのお嬢様。当時小4、まだまだ恋愛なんてものとは無縁で理解できなかった私には「見ていて恥ずかしくなるアニメ」「見ていてイライラさせられるアニメ」という印象でした。学校の同じクラスの連中も「面白くない」と言っていたものでした。一応最終回まで見続けたけど、あくまでも「お付き合い」「時間潰し」くらいの気持ちで見ていたというのが正直なところ。その後、何度か再放送もやっていたけど、その初見の時の「面白くない」「軟弱」というイメージが邪魔したので、一度も見たことはありませんでした。

 ところがケーブルテレビで視聴している東映チャンネルで「コンバトラーV→ボルテスV」と放映されて、それに続いて「闘争ダイモス」も放映されました。前者2作品は何度も再放送で見たし、今回久しぶりに見た印象も昔と変わりませんでした。一方でダイモスはこれまで一度も見たことがなかった。だから「今の40代の目線で見たらどんな風に映るんだろう」ということで実に37年ぶりに視聴してきました。つい先日最終回まで見終わったところですが、リアル・タイム視聴時よりもはるかに好印象でした。

 エリカ、「頭がお花畑なお嬢様」どころか、意思が強くて凛々しく、それでいて献身的で健気。平和を願い、バームの一般市民を救うために自分を犠牲にしようとすることも厭わない。優しくて強い、理想的な女性。そして竜崎一矢、軟弱なんてとんでもない。決して恋愛に溺れて「地球を守る」任務を忘れたり、おろそかにするような男じゃない。当時は「戦いよりもエリカばっかり」そんな風に映っていたはずなのに…。おそらく「バーム星人であっても傷ついた者や戦う意思のない者には攻撃しない」とか「戦いと関係のないバームの一般庶民を救うために戦う」といった態度は当時のヒーローものの主人公にはなかったもの。そういうところが当時の私には「軟弱」と映ったのかもしれません。しかし「敵を倒すために戦う」のではなく「地球を守るために戦う」一方でバーム星人とは理解し合い、協調したいと考え、平和を願う一矢の方が「ただ血気盛んなだけ」の主人公よりもよっぽど「強くて優しい」真のヒーロー見えます。それとは真逆に「バーム星人など皆殺し」「バームを倒すためなら地球人の一般庶民を犠牲にすることも厭わない」という地球防衛軍の司令官・三輪長官のような「地球側の悪役」も登場する。なんとなく「勧善懲悪」というより「リアルな戦争」のよう。いや、こういう設定は「時代が早すぎた」んじゃないかという気もします。同時に当時の私にも「早すぎたアニメ」だったのかもしれません。小4では恋愛云々だけじゃなく、こういうリアルなストーリーなんて理解できるはずがない。むしろ小6~中学生くらいに見たら、きっと理解できたのかもしれないし、もっと感動できたかもしれません。

 ということで30数年ぶりに「コンバトラーV→ボルテスV→闘将ダイモス」の3部作を見てきましたが、最も好印象だったのはリアル・タイム視聴時に最も好感度の低かった「闘将ダイモス」でした。確かに世間一般の評価同様「ボルテスV」が最高傑作だとは思うけど、設定の斬新さとリアリティでは「ダイモス」の方が上かなと。私だけではなく、当時の小学生たちには不評だったそうだけど、ターゲットを中高生くらいに設定して放映していればもっと人気も出たんじゃないかと思うし、「ガンダム」などよりも後に制作されていたらすんなり受け入れられたんじゃないかと思えます。早すぎた名作、37年ぶりに視聴した私の素直な感想です。ちなみに私がリアル・タイムで「毎週欠かさず見た」ロボット・アニメは、この「ダイモス」が最後でした。「時々見ていた」とか「はじめだけ」「途中から」「最後の方だけ」見たものはいくつかあったけど・・・。

by stakec68 | 2015-11-04 23:05 | テレビ、芸能


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