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落書き帳

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2016年 01月 25日

「ある日わたしは」魅了されて

 1983,4年頃、私が中3か高1の頃だったと思います。いつものように「欽ちゃんのどこまでやるの」を見ていたら、ゲストに松原智恵子が出演していました。この番組にはゲストが「萩本家」の茶の間に座って、萩本欽一や真屋順子、見栄晴などとトークするコーナーがあり、毎回いろんなジャンルのゲストが登場していました。当時の私から見れば、松原智恵子といえば母親と同世代の人なので「ああ、オバサン女優ね」くらいのイメージ。まあ、当時は2時間サスペンスによく出ていて、いつも事件に巻き込まれて不幸になって泣いている役ばかりやってるなとか、石立鉄男主演の「天まであがれ」というドラマでは石立演じる主人公に勝手に片思いして、池上季実子演じるヒロインとの間に割り込んでくるウザいバツイチ女の役をやっていたな、というくらいの認識はあったけど、特別印象に残る女優でもありませんでした。

 だけどこの日、ゲストとして登場した松原智恵子を見て、なぜか心惹かれるものが。確かに母親と同世代の「オバサン」なんだけど、なんとも言えない気品やオーラがあって「キレイ」というより「カワイイ」なと。声もキレイだし話し方も気品がある。しかもトークを聞く限り、気さくで飾らない人柄で親しみやすい。「趣味はドライブ、高速を思いっきり飛ばすのが気持ちいい」などと、ちょっと「お転婆」「男勝り」な一面もあって、そのアンバランスさもまた魅力的。実際、私と同世代(2歳上)の見栄晴もデレデレになっていたし。私も思わず一緒にテレビを見ていた父に「この人、若い頃滅茶苦茶美人やったんやない? 今でいうアイドルみたいに見えるけど」と聞いてしまいました。父は「昔の日活の看板女優で吉永小百合と人気を二分していた」と説明してくれました。とはいえ、当時中学生か高校生だった私が、母親と同世代の女優にそれ以上興味を持つはずもなく、そんな会話を交わしたことなどとっくの昔に忘れていました。

 昨年末、ケーブルテレビで視聴できるチャンネルNECOというCS局で「ある日わたしは」なるドラマが放映されるとの告知が。なんでもVTRが行方不明になっていたとか、いないとかの「幻のドラマ」とか。リアルタイム放送は1967年~1968年4月、1968年7月生まれの私にとっては「生まれる前」のドラマ。当然知らないドラマだけどチャンネルNECOが熱心に宣伝している。放映前、チャンネルNECOで番組宣伝が流れる。いきなり画面に大映しされた主演女優の顔アップを見た瞬間、思わず息が止まりそうに。なんとお美しい、なんてカワイイ、とてもこの世のものとは思えない。字幕を見ると「出演、松原智恵子」とある。ああ、そうだ、この人、昔「欽どこ」見た時に「母親と同世代だけどキレイ、カワイイ」と思ったあの人だ。そして例の美しい声、気品のある話し方、もう、これは絶対に見なければ・・・。

 というわけで昨年の秋から始まったこのドラマ、毎週欠かさず見ています。ストーリー自体は金沢から上京して大学に通う、松原智恵子演じる女子大生が大学生活や恋愛を謳歌するという、時代の感じられる内容。とにかく恋愛観も価値観も、私の年代から見れば古いという印象しか持てないというのは正直なところ。あと幼なじみの男子学生、隣の家に住む歯科医の長男、ちょっとグレた次男など多くの男に「想われている」ことを分かっていながら気持ちが揺れる主人公って、男の私から見るとあまり良い印象は持てないし。それに昭和40年代前半の古いドラマにありがちな「緩い」展開にも何となく波長が合わないし。なので「面白いか?」と言われれば「うーん、まあ、こんなものなのかなあ」レベルというのも正直な感想です。

 だけどストーリー云々じゃなく、やっぱり松原智恵子がひたすら美しくてカワイイ、見ているだけで幸せな気分になれます。友達や妹(演:ジュディ・オング、若い頃のこの人もカワイイ)にからかわれてふくれっ面になる、すねたような表情になる、隣の歯科医の長男の診察を受ける時「口を開けて」と言われて恐々とした表情で口を開ける表情、その後ちょっと気恥しそうにうがいをする表情、隣の次男に説教する時の凛とした表情、もう、すべてが可愛らしくて美しい。あと茶色いリボンの形をした髪留めもとってもお似合い。ファッション・センスもよくって、今の時代に現れてもみんなが振り返ること間違いなし。このドラマの主人公の性格も、気品があって美しくて優しい、でも芯が強くてちょっと男勝り、とっても庶民的で気さくで親しみやすい。ほとんど素の松原智恵子そのものなんじゃないか。あの「欽どこ」のトークのままのイメージ。だからストーリー云々というより「松原智恵子という女優のイメージビデオ」のようなものと思えばいいのかも。とにかくどのシーンにも松原智恵子の魅力で溢れている、そんなドラマだと思います。

 自分がリアル・タイムでは見ていなかった古い時代のドラマや映画を見て、こんな気持ちになった女優は過去に芦川いづみ(こちら)くらいしかいませんでした。でも芦川いづみの場合は「和製ヘップバーン」という感じで「雲の上の人」という印象なのに対し、この人の場合はもっと庶民的なので、より親しみやすさもある。本当にこのドラマの中の松原智恵子にすっかり魅了されています。チャンネルNECOはもともと日活と提携しているので、往年の日活の映画も多く放映している局。今後は往年の松原智恵子主演の映画も見ていきたいと思っています。しかし同じ日活の吉永小百合と同期で同い年らしいけど、なんでこの人ではなく吉永小百合の方が「大女優」になってしまったんでしょうか? 私にはどう見ても逆じゃなきゃ納得できないんだけど・・・。実際、80年代にはサスペンスの「汚れ役」ばっかりやっていたわけで、その「差」が不思議でなりません。

by stakec68 | 2016-01-25 01:02 | テレビ、芸能


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