2017年 11月 14日
ケーブルテレビで視聴できるチャンネルNECOというチャンネルで「ある日私は」(こちら)というドラマを見て全盛期=昭和40年代初頭の松原智恵子の美しさに心を奪われたこと、そしてやはり同時期の「若い川の流れ」(こちら)でも再び松原智恵子の可憐さに惹きつけられたこと、過去に述べてきました。そしてこのたび、そのチャンネルNECOでまたしても全盛期の松原智恵子主演のドラマ「颱風とざくろ」が放映されていたので、ずっと視聴していました。 「ある日私は」は私の生まれる(1968年7月生まれ)前の1967年~1968年4月、「若い川の流れ」はその後の1968年10月から放映されていたそうだけど、「颱風とざくろ」は翌1969年7月~9月放映らしいので私が1歳の時のドラマということになります。智恵子様の美しさは相変わらずなんだけどストーリーといい、キャラクターといい、細かい描写といい「脱アイドル」を狙ったのかな? 現代の目で見るとそんなに大胆でもないけど下着姿、水着姿、男を挑発するような台詞、エロティックなシーンなどもあって、それまでの「清楚で可憐」一辺倒ではないあたりに少し驚きました。日活の会社の方針なのかもしれないけど、30過ぎても清純派一辺倒な売り方をされていた吉永小百合と比較すると「扱いが悪い?」という気も。いや、ひょっとすると実力を認められて敢えて「今までと違う役に挑戦させられた」のかもしれないけど、明らかに「脱・清純派」という印象を受けました。でもこの翌年から「絶頂期」が終わって、「脇役専門」にシフトしたという話もあるので、この路線は失敗だったのでは?という気がしないでもありません。なので純粋に「可憐で美しい松原智恵子様を堪能できる」のは、むしろ「ある日私は」や「若い川の流れ」の方だったような気がします。 だけどドラマのストーリー自体は前の2作よりも面白く、引き込まれました。「ヒロイン=佐久間英子(松原智恵子)の彼氏である一雄(緒形拳)が山で遭難して亡くなる→数年後その弟・二郎(石坂浩二)と出会い、次第に惹かれていく」という展開はなかなかユニーク。私の中では「二枚目というより灰汁が強い個性派」というイメージの緒形拳がヒロインの彼氏役、「インテリやエリート」のイメージの石坂浩二が「ヒッピー崩れ」みたいな若者役をやっているあたりも新鮮。そして単なる恋愛ドラマかと思いきや、実はヒロインが「赤ん坊取り違え」の被害者で両親が実の親じゃないというシビアな展開があったり、その事実が判明する前からなぜか姉であるヒロインに恋愛感情を抱いて苦悩する弟とか、緒形拳演じる一雄が学生運動に巻き込まれて苦悩したり、石坂浩二演じる二郎が親に政治家の娘と政略結婚させられそうになって親と対立したり・・・、様々な方向に展開するので飽きない。「ある日私は」や「若い川の流れ」がどことなく「松原智恵子を見せるためのドラマ」「アイドル・ドラマ」風だったのと比較すると、純粋に見どころの多いドラマという感じでした。 また相変わらず「昭和40年代の風景」に魅了させる瞬間も多かったです。ヒロインの英子の職業がアナウンサーなんだけど、渋谷や池袋などの街中でインタビューするシーンなんてほとんど「ゲリラ撮影」なんじゃないでしょうか。まるで「当時の街の中にいるかのよう」な臨場感があったし、高度成長期で「みんなが元気」「日本全体が活気があってエネルギッシュ」に見えました。また後半、英子が「実の母親」の住む大分県の湯布院に行くんだけど、今ではすっかり観光開発できれいになった湯布院も当時は「鄙びた温泉街」という感じ。大分県の山下湖もロケ地として使用されていたけど、ここって今では温泉もホテルもなくなってしまった「かつての観光地」。まさに「在りし日の姿」が拝めました。 倉本聰脚本らしいけど、後のこの人の脚本にありがちな「ト書きの代わりのような長い説明台詞」もなくって、逆に普通のドラマよりも台詞が少なく映像と音楽だけで登場人物の心理描写する手法も斬新でした。ただし結局解決したのは「取り違えの真相と、それを知ったヒロインがショックを乗り越えた」ことだけで、「英子と次郎の恋の行方」とか、「なぜか姉に片思いする弟の苦悩」などは解決しないまま最終回を迎えたのは少し残念。まあ、事件が起こっても常にアンニュイというか、「ボヤけたような空気」というか、「うたた寝したくなるような淡い日差し」というか、そんな「緩い」空気感が常に漂っているので、「何となく終了」という終わり方も、このドラマらしいといえるかもしれません。 そんな「緩い」空気感にこれ以上ないほどピッタリなのが、森山良子の弾き語り調でしっとりした主題歌「あこがれ」と、ちょっとジャージーで軽快な「並木よ」。このドラマ全体に漂う空気感や、ちょっと大人になって色気も出てきた当時の松原智恵子様にこれ以上ないほど合っています。まさにこの時代=昭和44年でないと出せない空気感。毎日忙しくて疲れ切っている私をちょっとだけ「緩い」気分にしてくれる、そんなドラマでした。もちろん見始めたきっかけは「松原智恵子様のドラマだから」だったけど、むしろこの緩い空気感が心地よくってこの世界観にはまってしまいました。この時代のドラマには珍しく13話しかなくって短いのが残念でした。
by stakec68
| 2017-11-14 00:32
| テレビ、芸能
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